第50回大会長あいさつ

第50回大会は、“『弱い』ままで生きられる社会のために“をテーマとして、2024年5月25日(土)・26日(日)の両日に、対面+事前申込者のみWeb参加対応として、東京医療保健大学船橋キャンパスにて、開催します。

『弱い』まま生きる人とはどんな人なのでしょうか。保健・医療・福祉では、高齢者、こども、患者、障がい者、被災者等に焦点をあててきたと思います。社会学では、女性、少数者、被害者等々についても、考えてきたと思います。疾病利得の概念に象徴されるように、他者から『弱い』と明らかにわかることは、ときに、<生きる>ための手段となることもあるでしょう。しかし、情報弱者、災害弱者といった概念が示すように、社会の中で『弱い』とされることは、その社会で<生きる>ことの困難を抱えている状況であると考えます。

一方、その困難を支え、人が『弱い』ままで生きるためには、ケア(支援・看護・介護・介助・医療・福祉・教育等々)が必要とされると考えます。そして、そのケアを提供する役割を担う者には、人の弱さに共感共苦(compassion)できることと同時に、その苦悩(suffering)を抱えていく強さも求められています。

当学会会員の多くが、社会において『弱い』という位置づけにおかれる人やその人の<生きる>ことを支えるケアを担う者に関心を寄せて研究活動を継続していると思います。

そこで、この大会では、あらためて、人が『弱い』まま<生きる>ことについて、また、それを可能にするケアについて考え、『弱い』まま生きられる社会を築き、維持するために、一人ひとりのできることを模索してみたいと思いました。

あわせて、この大会は、当学会の50周年となりますので、理事会による50回記念企画が予定されています。メインテーマのもと企画している会長講演、教育講演、シンポジウムとともに、一般演題とラウンドテーブルディスカッションも含め、みなさまと叡智とエネルギーを交わす場を持てることを心待ちにしています。

ホームページのデザインにあるように、多種多様な生きものが暮らす森をメタファーに、虹のかなたに描く叶えたい社会を目指し、会員外の方もお誘いあわせの上、ご参集ください。

第50回大会長 吉田澄恵(東京医療保健大学千葉看護学部)